渋谷のおもしろい場所 3
「うちの息子は八歳で視覚障害者になりました。ある日、家族が茶の間で芸術談義をしていた時、会話に加われない息子が『ぼくたち盲人だってロダンを見る権利がある!』と叫んだのです。グリーンフィールドクラブ美術館へ連れていっても、日本ではまだ、どこの美術館でも彫刻にさわらせてはもらえません。このことが、この美術館を作る大きなキッカケになりました」
と語る館長のご主人さん。
そして「ここにあるのはすべて一流作家のものです。これらは大部分が半永久的にお借りしているものです。ほら、さわってごらんなさい。皆さんは最高の作品にさわれるというわけです。いい気分でしょう」と笑う。
この種の美術館は、外国にはあるが、日本でははじめての試みである。
そのため、全国の盲学校生が修学旅行などで訪れる。
最近は晴眼者の若者たちがフラッと立ち寄っては、目を閉じて作品に手をさしのべていることがあるという。
館名のTOMは、かつて新劇の劇作家、演出家、舞台装置家、画家であった館長の父の童画のサインからとっている。